子供が筋トレをしても大丈夫でしょうか?
子供の筋トレの効果と安全性について考察します
目次
子供に筋トレさせると良くないって本当?
大人になると筋トレしてある程度筋肉量を維持することが万病の予防になり、健康で長生きするための条件であると理解している人は多いと思います。
では、子供の頃から筋トレをするのってどうなのでしょうか?
よく、子供から筋トレすると身長が伸びないとか、骨の成長を筋肉が阻害するなんて言われますが、
実際はどうなのでしょうか?
スポーツ先進国アメリカの研究結果では
引用文献はこちら
「Resistance Training for Children and Adolescents」
pediatrics 2020 Jun;145(6):e20201011
まず、大前提としてこの研究の背景には子供のスポーツテスト(筋力や体力)などの結果が年々低下している事実があります。
これは、米国だけの事ではなく日本でも同様ですよね。
ゲームやスマホ、インターネットの飛躍的な進化により、子供たちが外で身体を使って遊ぶ機会が減ってしまった事に一因があるかと思います。
また、食事に関してはオーバーカロリーなお菓子やジャンクフードが身近にある環境で、消費カロリーが減っていることもあって子供の肥満についても問題です。もちろん肥満による体力や筋力の低下は言うまでもありません。
結果から言うと子供にも筋トレはさせるべきである
はい。これが答えです。
意外だったという方も多いかと思います。その詳細については以下に解説します。
子供が筋トレをするメリットとは
メリットについては、体力の向上のほかにも、運動技能のパフォーマンスの向上、スピードとパワーの向上、身体的リテラシーの発達、怪我のリスクの軽減、怪我のリハビリテーションなどなどあるようです。
また、筋力や局所的な筋持久力の向上に加えて、レジスタンストレーニングは、心臓血管の健康、体組成、骨ミネラル密度、血中脂質プロファイル、太りすぎの若者のインスリン感受性の改善など、多くの健康上の利点を生み出すことが示されています。
他にも、長年の研究の結果、正しいテクニックに重点を置いて筋力トレーニングを十分に監督すれば、子供や青年は低い負傷率で筋力を高めることができることが今では認められています。
子供が筋トレするデメリットとは
メリットの方が多いことが分かった筋トレですが、いくつかデメリットもあるようです。
その一つは、正しい指導者によるコーチングが必須であること。
無理な負荷のかかる筋トレや、短すぎる休憩時間によりオーバートレーニングを誘発してしまいます。
また、ケガのリスクも高まるため子供一人ではできないことはデメリットであるかもしれません。
おそらくですが、「子供に筋トレをさせない方が良い」という神話が日本社会でここまで広がってしまったのは、
昭和の漫画が関係している気がします。漫画の主人公は子供ながらにハードなトレーニングを積ませられ、ど根性で乗り切って強靭な肉体を手に入れていく訳ですが、現実的には適切でない負荷により怪我を誘発してしまいます。
そして、この漫画を真似してウサギ跳びを神社の階段で…みたいなトレーニングを本当に実行して怪我をしてしまった人の体験談が、世の中に流布してしまったのではないかと推測されます。
トレーニングに適切な年齢とは?
この研究では5歳以降は筋トレを取り入れても大丈夫であると書かれています。
ただし、筋トレと言ってもカニ歩きや片足でケンケンするなど、身体を使った遊び的な要素が強いものの事を指しています。
また、小学生~中学生の思春期前はホルモンの関係で筋肥大をする訳ではありませんので、自重でのトレーニングメインで、骨や腱を丈夫にし、関節の柔軟性を高めることが重要です。
筋肥大はしなくともニューロンの発達は促されるそうなので、いわゆる運動神経の向上も望むことができる訳ですね。
青年期に差し掛かったら(特に男の子は)筋肥大も望めるので、ウエイトトレーニングも取り入れて、より筋力の向上を目指すことが可能となります。
まとめ
さて、子供の筋トレについて確認した訳ですが、従来の定説「子供に筋トレさせない方が良い」というのは今では古い考えであることが分かったかと思います。
余談ですが、ナチュラルボディビルのレジェンドであるマイク・オハーンも13歳で筋トレをしていたそうです。彼は身長191㎝あるので、筋トレをし過ぎて身長が伸びないと言うことも科学的根拠が乏しい話です。
とは言え、適切な筋トレを適切な頻度で実施することが重要なので、その点が不安な方は必ず専門家に相談することをオススメいたします。
大切なお子様の未来を守るためにも、正しい知識と経験を持ったトレーナーを選択しましょう!
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