インスリンは悪では無い!
目次
勘違いされているインスリン
昨今、フィットネスブームに乗じてパーソナルトレーナーを職業とする人が増えてきました。
パーソナルトレーナーは日本では国家資格の無い職業なので、変な話、誰でも簡単になることが出来ます。
一応、様々な団体がパーソナルトレーナー資格なるものを独自に発行していたりするのですが、それらも商業目的の意味合いが非常に強いため、知識や技術を認定している資格とは言い切れません。(テストだけで実技試験が無いものばかりですし、その資格を維持するために高額な講習への参加を必須としていたり、継続料金みたいなものも請求され続けます)
なので、世の中のトレーナーの質に関して言うと当たり外れが非常に激しいです。
本当に、同業者としてパーソナルトレーナーを名乗る資格は無いと思うものも少なくありません。
そういった人たちは、実技的な部分も未熟なのですが、知識も間違いだらけです。
人体の事を深く知るためには、必ず医学知識が必要になります。もちろん、だからといって医師の資格が必要とは思いませんが、最低限の医学知識は知っておくべきです。
幸いにも、私は医療業界に長年従事してきたので、こういったエセトレーナーの言う事は一発でそのトレーナーの質の低さを見抜く材料だと実感しています。
前置きが長くなってしまいましたが、先日あるトレーナーが「空腹を感じるのはインスリンのせい。だからケトジェニックをすると空腹を感じない」と発言していました。
少しでも医学知識がある人だと、「この人はこんな事を言って恥ずかしくないの?」と思いますよね。
こういった間違った知識がSNSなどで広まってしまい、いつの間にかインスリンが悪みたいになるのが不思議でなりません。
まず第一に空腹を感じるのはインスリンのせいか?
空腹を感じるメカニズムの一つに、血糖値の低下があります。
人間は血糖値が下がりすぎると空腹という信号を通して、食事を摂り血糖値を上げます。
これは、自然の摂理なので何の疑問も無いところでしょう。
もし、この空腹感を感じなければ食事を積極的に摂らずに栄養失調になる可能性だってあります。
人間の生理現象として空腹感は必要なものなのです。
ここで確認ですが、インスリンは膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されるホルモンです。
インスリンの役目は血糖値が上昇した際に血液中の栄養素を細胞に取り込み、血糖値を下げる役目があります。
もし、何らかの異常でインスリンが分泌しなかったりインスリンの抵抗性が上がると糖尿病になってしまいます。
つまり、食事をして血糖値が上昇すると、その際にインスリンが分泌し血糖値を下げます。
普通の人は血糖値が下がったからと言って、すぐに低血糖の領域まで血糖値が下がるものではありません。
なので、インスリンが低血糖を導いて空腹感を感じさせる諸悪の根源だという理論は完全な筋違いなのです。
仮に、インスリンが空腹感を感じさせるなら、そのインスリンが分泌しない糖尿病患者は空腹感を感じないという事になってしまいます。
そんなバカげた話無いですよね。糖尿病患者は尿糖が出ることで、血糖値が下がり空腹感を感じやすくまた食べてしまうのですから。
ケトジェニックでは空腹感を感じない
これは、ちゃんとしたケトジェニックを実践したことがある人なら分かると思います。
空腹感を感じない訳はありません。
ただ、ケトジェニックは血糖値の上昇幅が穏やかなため、血糖値が急激に下がっての空腹感の発生は確かに少ないです。
また、脂質をしっかりと摂ったケトジェニックが実践できていれば、空腹感はなおさら感じにくくなります。
これは、脂質の消化には時間がかかるからです。
糖質を限りなく0に近づけて脂質を増やすと、上記のメカニズムから空腹感を少し感じにくくなるのは事実です。
つまり、ケトジェニックが空腹感を感じにくいのとインスリンは一切関係ありません。
まとめ
さて今日はすごく当たり前の内容となってしまいました。
ですが、この当たり前の事を知らずにパーソナルトレーナーを名乗る輩が増えてきているのが事実です。
いつか、パーソナルトレーナーが国家資格になり確固たる知識と技能を身に着けた者だけが名乗れる資格になると日本のフィットネスも更に進化しそうですね。
ただその前に、独自の資格を発行している業界団体が必死で抵抗するでしょうけれど…
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